さて、前回から始まったデンマークレポートの第2回めです。
初日のプログラムはデンマークの教育制度を学ぶというテーマで、幼児むけの森の幼稚園と現地の小中学校を視察することになりました。
森の幼稚園は、その名の通り、森のなかにある幼稚園で、デンマーク国内では500箇所もあるとのこと。
しかし、先生の備品や打ち合わせの建物以外はなく、子どもたちは全ての活動を屋外で行うことになります。
ガイドをしてくれたニールセンさん曰く「雨の日も雪の日も変わらず、毎日森で過ごすのです」とのこと。
私らが行ったときは晴れていましたが、それはまた凄いなーと驚き。
このようにして子どもたちは森のなかで生きる力を自然と身につけることになります。

また、子どもたちはその日行う活動を自分で選ぶことができます。
ある子はアスレチックのような遊具で、ドヤ顔をしながらターザンを私らに見せてくれたり、またある子はひとりタイヤのブランコで物思いにふけり、またある子は先生の指導のもと、好きな絵の具を使って蜘蛛の絵を書いたり。
中でターザンごっこをしていた男の子がいました。その子は昔足がうまく動かせなかったそうですが、この幼稚園に来るようになってから足が動くようになり、ターザンごっこをできるまでに回復したそうです。
先生も、安全に配慮しつつも敷地内の子供を俯瞰して見守りながら、教えるべきところは教えるというスタンス。
そこには「個人の選択を限りなく尊重する」というデンマークの国民全体の意識が浸透していました。

午後は地元の小中学校へ。
デンマークの場合は義務教育は日本のように分かれておらず、9年+1年の10年制になっています。
事前にニールセンさんから「これから行くところはどちらかといえば、生活水準がデンマークの平均以下のエリアの学校です。」といわれ、どんなところだろうと思っていましたが、そこは私の予想を完全に凌駕するものでした。

広々とした敷地に立派な図書館やプール、体育館などがあり、子どもたちが学んでいます。
校長先生直々に案内してくれましたが、ここでも子どもたちの意志を尊重して選択科目が大変に充実しています。
また「スポーツと数学」など、日本にはないスポーツと一般科目の組み合わせも積極的に取り込んでいるとのこと。
校内を回っているときに、PCを前にテーブルで話す3人の子供がいました。
聞くと年齢は15歳。社会の授業で「権利について」のディスカッションをしているのだとのこと。
教室は他の子達が大勢いたのですが「議論する環境として静かなところで話したいので、教室の外で話しているんだ」
と言っていました。
全てPCは学校からの貸し出し。子どもたちは検索をしながら、議論を展開することができます。
ここでも子供を個人として尊重しつつ、先生が適度に授業をリード。
あくまでも子供の考えたことを言葉化し、円滑かつ徹底的に議論させる姿勢を育んでいる様子が見受けられました。

先生の言うことをみな一様に聞かせるスタイルが一般的な日本の学校とあまりにも違うな・・しかしこれもさっき見た森の幼稚園と同様、個人の意志を尊重し伸ばすというコンセプトが徹底しているからなのだとわかります。
そんなことを考えながら見る一人ひとりの子どもたちの表情には大人っぽさを感じました。
社会運営の肝は、教育だと常々妻と話していたのですが、それがこのような環境で形成されていることを知り、大きな驚きを得た初日でした。
2件のフィードバック
すてきな国ですね!
ほんとデンマーク人になりたい気持ちがわかります。
日本でこのような社会を、暮らしを目指したいですね〜^ ^
今井さん コメントありがとうございます!日本でも少しずつ、少しずつ変わっていけると信じています。一緒にがんばりましょうね!